豆をもっと食べたい、でも戻すのが面倒という方も少なくないと思います。
でも、戻さずに使えて美味しい豆もあるのです。
今回は、戻さずに使える豆の中でも、レンティル(レンズ豆)についてお伝えします。
サステナブル料理研究家、一般社団法人DRYandPEACE代表理事のサカイ優佳子です。
2011年からは特に、現代のライフスタイルに合わせた乾物の活用法の研究、発信に力を入れ、著書14冊(うち、乾物関連7冊)になりました。
- 食品ロス削減
- 省エネ
- もしもの時の備え
そして意外かもしれませんが、料理を時短にしてくれるのが乾物。
いいことだらけの乾物をふだんの食卓に取り入れる方法を、このブログでもいろいろお伝えしています。
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なぜ乾物?について、インタビューを受けました。
20分ほどの動画です。ご覧いただけたら嬉しいです。
Re・rise News
1 レンティル(レンズ豆)とは?
戻す必要がない豆で、使いやすいものといえば、レンティル。
スープやカレー、シチューなどの汁物にそのままいれて10分~30分程度で火が通ります。
なぜレンズ豆?
レンティルは、レンズ豆とも呼ばれます。
レンズの形に似ているからレンズ豆、と思いきや、レンティルの形に似ているから、カメラなどに使われるレンズの方がレンズと呼ばれるようになったのだそうです。
レンティルの産地、食べている国
紀元前から長く食べ続けられている豆ですが、日本では生産されていません。
原産地はメソポタミア地方とされ、生産国は、インド、トルコ、カナダの順に多いです。
(参考 日本豆類協会HP 「レンズまめ」)
世界の多くの国で食べられており、例えばインド料理店で豆のカレーといえば、レンティルを使ったものがほとんどなので食べたことがある方も多いのではないでしょうか。
イタリアでは大晦日の夜に、ザンポーネあるいはコテキーノなどのソーセージと共に、レンティルの煮込みを食べる習慣があります。
レンズ豆の形が硬貨に似ていることから、金運アップの願いをこめているのだそうですよ!
フランスでも、ソーセージや豚足などと一緒に煮込む料理がよく見られます。
2 レンティルの種類
日本で入手しやすいレンティルには、レッドレンティル、ブラウンレンティルの二種類があります。
他に、丸みを帯びたグリーンレンティル(フランス、オーベルニュ地方のル・ピュイのものが有名)、粒が小さいブラックレンティル、などもあります。
どれも、戻さずに使うことができます。
レッドレンティル
レッドレンティルの特徴〜手軽で速い
- 火の通りが速い
- 煮崩れしやすい
- 煮ると色がくすむ
- 旨味は薄い
順番に説明しますね。
火の通りが速い
レッドレンティルは皮が剥かれているので、10分ほども茹でれば火が通ります。
戻す必要もないので、野菜のような感覚で使うことができます。
煮崩れしやすい
煮ている間に、形がすぐに崩れてしまいます。
なので、豆の食感や形を残したい料理には向かないと言っていいでしょう。
一方で、スープやシチュー、ディップなどに使うには便利です。
煮ると色がくすむ
色がとてもきれいなので、サラダに入れたい!と思う方も多いかと思いますが、残念ながら、加熱すると色があせて黄色っぽくなります。
旨味は薄い
他の種類のレンティルに比べると、皮の部分が除かれているため、旨味や風味が薄いです。
レッドレンティルの料理
レッドレンティルのスープ(レンズ豆のスープ メルジメッキ・チョルバ)
トルコでは、レッドレンティルのスープ(メルジメッキ・
トルコ旅行専門のTurkish Air & Travelのホームページで紹介されているトルコ料理の中でも、筆頭に挙げられているのがこのスープです。
「日本のお味噌汁のような存在のトルコ全土で親しまれている定番メニュー」と紹介されています。
トルコ旅行専門 Turkish Air & Travel HP 「トルコ料理」
ネットで調べた中では、このレシピがかなり美味しそうなので、今度作ってみようと思います(後日レポートします)
Lands & Flavors ”Turkish Red Lentil Soup”
日本豆類協会さんも、このスープのレシピを紹介しています。
レンズ豆のクミン風味ディップ(レッドレンティルのクミン風味ディップ)
先ほども書いたように、色がこんな風に褪せてしまうんですが、美味しいです。
今度作るときは、色を出す何か他のものを加えようかと思います。
野菜につけたり、パンやクラッカーに塗ったりしてどうぞ。
レシピは、DRYandPEACEのホームページご覧ください。
レッドレンティルの炊き込みご飯(レンズ豆の炊き込みご飯)
炊飯器で作れば、超お手軽豆料理です。
[材料]
米 2合、レッドレンティル(乾燥) 1/2カップ(100ml)
[作り方]
- 米は研いでおく。
- 1を普通に水加減してから、レッドレンティルを入れて炊く。
<アレンジアイディア>
- 好みで、食べるときにちょっと塩をふっても。
- 針生姜(ごく細く千切りにした生姜)をトッピングして、和風に食べるのも美味しいです。
- カレーのつけ合わせのご飯にぴったりです。
- 肉料理の付け合わせにも。
- 油大さじ1にクミンシード 小さじ1/2くらい(スパイスに慣れていない人は少なめからをお勧め)をいれて弱火で香りを立てたものを加えて炊くとエキゾチックな味になります。
- ガラムマサラやターメリックを入れて炊いても美味しいです。
ブラウンレンティル
ブラウンレンティルの特徴〜旨味が濃い
- レッドレンティルに比べて旨味が濃い
- スープやカレーなど煮込み料理に合う
- 15〜30分ほどで煮上がる
少し詳しく説明しますね。
旨味が濃い
ブラウンレンティルは、皮がついたままである分、レッドレンティルに比べると旨味が濃く、滋味深い味わいです。
豚肉や羊肉、鶏肉などとの相性がとても良いですが、ブラウンレンティルの風味と濃い味わいで、豆だけでも満足度が高いです。
スープやカレーなど煮込み料理に合う
シチューやカレー、スープなどに加えると、ブラウンレンティルならではの風味が料理の表情を変えてくれます。
普段の料理に一握り加えるところから初めてみてはどうでしょうか?(アイディアやレシピは後述)
例えばカレーなら、野菜を煮るのと同じタイミングで加えれば、じゃがいもや人参が柔らかくなるのと同じくらいの時間で煮上がります。
15〜30分で煮上がる
豆の鮮度にもよりますが、15~30分程度で煮上がります。
レッドレンティルのように、短時間で煮崩れてしまうことはありませんが、30分以上煮ると崩れてきます。
食感を多少残すのか、崩れたのをよしとするのかは、好みで調整してくださいね。
ブラウンレンティルのレシピ
残り野菜とブラウンレンティルのスープ
我が家でよく作る、残り野菜とブラウンレンティルのスープの作り方を写真でご紹介しますね。
野菜は、この通りでなくても大丈夫です。
量も適当で作っています。
ブラウンレンティルの旨味が感じられて、肉類なしでも美味しいですが、ベーコンやハム、ソーセージなどが残っていれば入れてしまいましょう。
[作り方]
- ニンニクとオリーブオイルを鍋に入れ、弱火で香りを立てます。
- 玉ねぎ、人参、セロリ、エリンギ、赤パプリカ、パセリは細かく刻んで、ブラウンレンティルと一緒に中火で炒めます。
- 全体に油が回ったら、昆布水(昆布を7時間ほど水につけておいたもの)あるいは鶏ガラスープを、全体がかぶるくらい注ぎます。
ベイリーフ(ローリエ)も入れます。
- 蓋をして、沸騰したら弱火にして、ブラウンレンティルに火が通るまで20〜30分ほど煮ます。
30分くらい煮ると、レンティルはとても柔らかくなり煮崩れてきます。食感の好みで時間を調整してください。 - 塩、胡椒で味を調えてできあがりです。
普段のカレーを作るときにも、こんな感じで、野菜と一緒にブラウンレンティルを炒めて、あとは普通に作れば、手軽に豆の栄養が摂れますよ!
ウチの定番、鶏肉とレンティルのクミン風味煮
[材料]
ブラウンレンティル(乾燥) 30g程度、オリーブオイル 適量、ニンニク みじん切り 1かけ、クミンシード 小さじ1/2、玉ねぎ薄切り 1/2個分、鶏もも肉 一口大 250g、じゃがいも(中)一口大 2個分、鶏ガラスープ 適量、塩・胡椒 各少々
[作り方]
- オリーブオイルとニンニク、クミンシードを鍋に入れ、弱火で香りを立てる。
- 玉ねぎと鶏もも肉を加えて中火で炒昆布めたら、ブラウンレンティルと、じゃがいもを加えてさらに炒め、鶏ガラスープをひたひたに(ちょうど具がかぶるくらい)注ぐ。
- 蓋をして沸騰したら弱火、レンティルとじゃがいもに火が通るまで20分ほど煮たら、塩胡椒で味を調える。
ブラウンレンティルのビール煮
ベーコンや鶏肉とブラウンレンティルを、ビールと昆布水(昆布を水に浸けて7時間ほどおいたもの)半々で煮て、塩胡椒で味付けというのも美味です。
[材料]ブラウンレンティル(乾燥) 100g、ベーコン 80g、玉ねぎ粗みじん切り 1/2個分、ビール 200ml、昆布水(なければ水あるいは鶏ガラスープ) 200ml、塩・こしょう 各適量
[作り方]- ベーコンは7㎜幅の拍子木切り(塊の場合)、あるいは薄切り(スライスベーコンの場合)にする。
- 鍋にベーコンを入れて火にかけ、ベーコンの脂をだすように弱火でじっくり炒める。
- ベーコンの脂がでてきたら玉ねぎを加え、炒める(脂が足りずにくっつきそうであれば、適宜油を加える)。
- レンティルを加えてざっと炒めたらビールと昆布水を加え、豆が柔らかくなるまで20〜30分ほど煮る。
- 塩、こしょうで味を調える。
- 残ったビールは飲みましょうw。
- ベーコンは減塩ではなく、しっかり燻煙と塩をしてあるものを使う方が美味しくできます。
ブラウンレンティルのぜんざい
意外かもしれませんが、茹でて甘く味付けをして食べても美味しいです。
[材料]ブラウンレンティル(乾燥) 30g、水 120ml程度、砂糖 20g、塩 ひとつまみ、カルダモンパウダー 少々、プレーンヨーグルトあるいはバニラアイス、オレンジピール各適量
[作り方]- レンズ豆と水を鍋に入れて火にかけ、沸騰したら弱火にして20分ほど、豆が柔らかくなるまで煮る。柔らかくなる前に砂糖を入れないこと。
- 1に砂糖と塩を入れて軽く煮る。水分が多ければ、水を飛ばすようにする。
- マッシャーなどで豆を軽くつぶす。
- プレーンヨーグルトまたはバニラアイスとともに2を盛り付け、カルダモンパウダーをふり、オレンジピールを散らす。
*砂糖を最初から加えると、砂糖が豆の中の水分を引き出してしまうことで豆が硬くなります。ご注意ください。
グリーンレンティル
フランスのル・ピュイと言う村は良質のグリーンレンティルがとれることで有名で、AOC(原産地管理呼称)に認定されています。
このル・ピュイはオーベルニュ地方の村で、1999年にオーベルニュに住んでいた時に訪れています。
風光明媚なとても美しい村でした。
豚足やメルゲーズソーセージ(スパイシーなソーセージ)とグリーンレンティルの煮込みは、フランスでよく食べられています。
グリーンレンティルは、他のレンティルと違い、少し丸みを帯びた形で、いわゆるレンズ型ではありません。
上品でいながら力強い旨味がある豆です。
グリーンレンティルも30分ほどあれば茹で上がります。
ブラウンレンティルのレシピで美味しく食べることができます。
ブラックレンティル
ブラックレンティルには、ベルーガレンティルという別名もあります。
ベルーガレンティルと呼ばれるのは、茹で上がった姿がキャビアのようにも見えるから。
他のレンティルに比べると小ぶりで、丸みを帯びています。
下の写真は、パリのビストロで食べた時のものです。
ふわふわのパンケーキが添えられて、これにのせて食べました。
料理の名前は、「貧乏人のキャビア」。
豆が小さいのではやく茹で上がるかと思いきや、20分〜30分ほど茹でても、食感が感じられる、パスタで言うところのアルデンテな感じです。
その食感のよさを活かして、シチューなどに入れるよりは、サラダなどに使うのがお勧めです。
まとめ
レンティルは戻さずに使えて、とても美味しいお豆です。
我が家ではレンティルは常備品、家族みんなが好んで食べます。
豆を頻繁に食卓に載せたいと思ったら、まずはレンティルが簡単でお勧めです。
他にも、戻さずに食べることができる豆はありますので、ぜひ他のページもご覧くださいね。
https://yukakosakai.com/category/dried_food/beans/
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レンティルの料理もご紹介しています。
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