【食を読む】食をテーマに5冊を5人で読みました

オンライン読書会「食を読む」

昨日は、月に一度のオンライン読書会シェアReadingの会を開催しました。

食をテーマにした本を一冊と筆記用具を準備してご参加いただいています。
未読OK、予習不要の読書会です。

音声でもほぼ同じ内容をお伝えしています。こちらでお聴きいただけます。

目次
1 質問ありき、で読むから入るんです
2 今回集まった本、分野もさまざまなところがいいんです
「美味しい昆虫食」
「フードマイレージ あなたの食が地球を変える」
「胡椒  暴虐の世界史」
「ヒトはなぜ太るのか」
「温暖化で日本の海に何が起こるのか」
3 まずは知ること、疑問を持つことから始まる


1 質問ありき、で読むから入るんです


一般的な読書会のイメージは、例えば課題図書があって、それを読んで参加。感想を言い合ったり、そこから対話をしたりということになるのだと思います。

シェアReadingの会では、参加者それぞれが全く違う本でも問題ないし、全員で参加人数分の本を読んでいくことになります。

とはいえ、2時間の間に精読するのは無理。

でも、
まずは本をざっと把握する。
それを発表する。
他の人の発表を聞いて、その本についての質問を一つずつ投げかける。
自分に向けられた質問を、自分が選んだ本の中に探る。
答えを発表。
そこからの対話。
といった流れ。

自分が思いもしなかった質問を受けることもあり、それを探そうと短時間で本に当たると、思いの外集中して読むことができるのです。さらに、それを口に出して発表することで記憶に残ります。

よくセミナーなどで、自分が発言したことについては記憶が鮮明に残ると言われますよね。漫然と読んでいた時とは、入り方が違ってきますし、自分の目的意識だけではない読み方をするので、一人で読んでいたら気づかなかったことに気づくこともできます。

 

2 今回集まった本〜分野もさまざまなところがいいんです


今回集まった本は、こんなラインナップ。

まずはコレ!
肉食をこれからも続けていって環境にいいのだろうか?食料を足りるの?
昆虫食はそんな中で取り上げられてきていますよね。


おいしい昆虫食」 佐伯真二郎著
「一番栄養がある昆虫は?」
「その辺にいる昆虫を食べても問題ないのですか?」
「アレルギーは大丈夫なのでしょうか?」
「養殖ってすでに行われているのですか?」
などの質問が寄せられました。

昆虫を食べるときに気をつけなければならないポイント「昆虫を食べる前に知っておくべき7か条」もまとめられているのだそうです。
ラオスで昆虫食による栄養改善事業を進める著者が書いた本です。


二冊目は、こちら
フードマイレージ あなたの食が地球を変える」田中哲也著
食料自給率ではなく、食料依存率という指標を使うことを提案しているとのこと。
自給率では、輸入で入ってくる食材のことしか計算に入らず、その食料を作るために必要だった水などその他の資源が計算に入っていないので、それでは本当の姿がわからないと、農水省の方が書いた本。そして地産地消を推進しようと提案。

「食料依存率ってどういうことですか?」
「自給率との違いは?」
「シンガポールなどは食は輸入するしかないので、いろいろな国から食料を入れることでリスクを分散するという方針。そもそも自給率を高めることはいいことなのですか?」
などの質問が寄せられました。


3冊目は、「胡椒 暴虐の世界史」 マージョリー・シェファー著
胡椒を巡る暴虐の歴史を描いた本。
古代ローマ、ギリシャ、中国ですでに使われ、インドのアーユルヴェーダでは解毒作用があるとされてきた胡椒。にも関わらず効能が研究され始めたのは最近のことというのには驚き。
1930年に日本の指導でブラジルで胡椒が作られるようになったエピソード、胡椒を口実に征服合戦が行われた歴史、また、インド洋を渡る際に、食べ物確保のため、途中の島に生息していた生き物を食べて絶滅させてしまったことなど、さまざまなエピソードが語られている本。
「自然に恵まれた土地は、歴史に呪われた」

「胡椒って、なぜそこまで重要だったのですか?」
「コーヒーやカカオなどの農産物も西欧が目をつけたけれど、胡椒の歴史との接点はあるのでしょうか?」
「コーヒーやカカオは中毒性があるけれど、胡椒にもあるのでしょうか?」
「西洋の人たちにとって、こうした暴虐の歴史は現在どう捉えられているのでしょうか?」
「政治や経済との関わりについてはどんなことが書かれているのでしょうか?」
などの質問が出ました。


4冊目は、「ヒトはなぜ太るのか」 ゲーリー・トーベス著
肥満は物理学ではなく生物学の問題とする本。
肥満にはカロリーの取りすぎだけでは説明できないことがある。
また、遺伝だけでも説明できない(一卵性双生児でも太る人と痩せるヒトはいる)。
実は肥満は、カロリーの取りすぎではなく、ホルモンのアンバランス問題ではないかとする本。

「ある日突然太りだす人がいるのはなぜですか?」
「太るってそもそもいけないことなんですか?」
「ホルモンということですが、感情も影響するのですか?」
「遺伝も関係するんですか?」
などの質問が出ました。


5冊目は、「温暖化で日本の海に何が起こるのか 水面下で変わりゆく海の生態系
これは私が選んだ本なのですが、全部で3冊の本を持ち込み、皆さんにどれにしたらいいかを選んでいただいたのがこれでした。

「海の生き物への影響は、温暖化と化学物質とどちらが大きいのですか?」
「温暖化で海が変わると、魚の種類も変わるのでしょうか?日本で食べられなくなる魚介もいるのでしょうか?」
「温暖化を止めるために私たちにできることはあるのでしょうか?」
「温暖化と養殖との関係は?」
などの質問が出ました。

この本についてはすでにブログに書いていますので、そちらをご覧くださいね。


3 まずは知ること、疑問を持つことから始まる


質問に対する答えを、それぞれが探し、答え、そこからさまざまな対話が生まれました。
その答えが本に見つからないことももちろんありますし、どう解決したらいいのかわからない問題もありますが、問題意識を持つことがまずは大切と考えています。

参加してくださる方によって、持ち込まれる本も変わるし、質問も違います。
なので、以前に取り上げたことがある本であったとしても、人が変われば全く違う読み方ができるのも面白いところです。

今回皆さんが持ち寄ってくださった本、以前の読書会で取り上げた本をブクログにあげていますので、ぜひご参照ください。こちらから。

次回以降の最新情報はこちらをご覧ください。
https://www.reservestock.jp/page/consecutive_events/2001

 

 

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ABOUTこの記事をかいた人

サステナブル料理研究家/一般社団法人DRYandPEACE代表理事
東大法学部卒。外資系金融機関等を経て、娘の重度のアトピーをきっかけに食の世界に。

食には未来を変える力があるという信念のもと、今のライフスタイルにあった乾物や米粉の活用法を中心にレシピを開発している。
料理教室の開催、企業向けメニュー開発、研修など多数。

料理を自由に発想でき、毎日の料理が楽しくなる独自の「ピボットメソッド」を考案。個人やメニュー開発が必要な方向けのトレーニングも行っている。

著書14冊。メディア出演多数。

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