オンライン読書会で一緒に読んだ5冊の食の本

昨日は、月に一度開催しているオンライン読書会でした。

食をテーマにした本を一冊ずつお持ちいただき、参加者の数だけ集まった本を一緒に読むスタイルです。

今回は、京都、川崎、千葉、マレーシア、横浜を繋いでの読書会となりました。

ほぼ同じ内容の音声配信はこちらでお聴きいただけます。

目次
1 今回は、こんな本が集まりました
2   こんな質問を投げかけあいました
3 興味深い回答プラスの情報や対話が
4 こんなご感想をいただきました


1 今回は、こんな本が集まりました


今回集まったのはこんな本でした。

「国民食の履歴書 カレー、マヨネーズ、ソース、餃子、肉じゃが」魚柄仁之助著
「雑食動物のジレンマ ある4つの食事の自然史」マイケル・ポーラン著
「ワイン一杯だけの真実」村上龍著
「食べる力が健康寿命を伸ばす」脇田雅文著
「フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義」田中宏隆他著

1冊は小説。以前、絵本をお持ちくださった方もいらっしゃいましたが、小説を食で切るのもおもしろいですね。


2 こんな質問を投げかけあいました


7分間集中して、持ってきた本を読み、その概要を発表していただいた後に(未読でもこのときにざっくり概要を掴めばOKです)、それを聞いた他の参加者が質問を投げかけます。

例えば、

ワインをテーマに8人の女性が登場する8つの物語と言うのですが、どんな女性が取り上げられているのでしょうか?

カレーはジャンクフードと言うイメージもありますが、材料は時とともに変わってきたのでしょうか。

噛むことは脳の活性化に繋がるとのことですが、どんな風に繋がっているんでしょうか?

アメリカの食の崩壊も雑食動物であるがゆえということですが、どういうことですか?

今後、フードテックは人の調理への関わり方において、どんな変化をしていくと考えられているのでしょうか?

などなど。

17分時間をとって、それぞれの本の中に答えを探していただきました。
もちろん、必ずしも答えが見つかるとは限らないのですが。


3 興味深い回答プラスの情報や対話が


単一食だと脳はスカスカ?
雑食動物の反対は単一食、例えばコアラやパンダなどの動物。
無駄なことをしない、他の生物が食べられないものを食べることで無駄な争いも避けるという戦略。
その代わり、脳はスカスカという話は笑えました。

何を食べるかに悩む辛さ
一方で、雑食動物は、どこででも生きることができるし、選択肢は多いけれど、選択肢が多いことで考えすぎてしまい、それがストレスにもなる。アメリカは多様な民族が暮らし、統一した食文化がないために資本主義に基づく食の工業化が極端に進んでしまったこと。またトウモロコシがそういう意味で最もメリットがある食材と考えられていること。
そんなことが語られました。

オーパス1と2つの恋
8つの小説の中の一つは、仕事に忙殺され精神的均衡を崩したアラフォー女性がハワイで自分を取り戻していく物語。
旧大陸と新大陸との融合とも言えるアメリカワインの頂点オーパス1を飲む風景が、女性のかつての恋と新しい恋への予感と合わせて描かれているのだそう。ワインの特徴から物語を紡ぐ、村上龍さんの物書きとしての思考の流れを想像させられます。

身欠きニシンのカレー?
日本のカレーには2つの流れがあり、一つはイギリス流。もう一つはかつおダシをベースにしたカレー味の煮物のような系譜。
例えば身欠きニシンのカレー煮などが紹介されているという回答に、「興味深いです。早速作ってみます!」という発言も。

噛む力で寝たきり解消?
歯医者さんである著者が、父親が寝たきりになったところを、噛む力を重視することによって85歳でゴルフができるほどに回復させることに成功したという話は、親の介護が身近な人にとっては「読んでみよう」という気にさせられます。

フードテックはロボットや培養肉だけじゃない
フードテック革命というと、ともすればロボットが調理する、あるいは培養肉的なことを想像しがちですが、そういうものだけではなく、料理の技術を獲得できるフライパン、高齢になっても自分で料理がしやすいキッチン、見た目はそのままなのに料理を柔らかくできる機械、食品ロスを減らす、コミュニティづくりのサポートなど、さまざまな分野でのテック革命が進んでいきそうな予感。まずは私たちがどんな世界を望むのかということが大事という思いを新たにしました。

また、食品業界に長くいらっしゃる参加者の方からは、政治と食の関係の生々しい話やシンガポールの国営スーパーの凄さなどの話も出て、これもみんなで興味津々でした。

4  こんなご感想をいただきました


早速こんなご感想が届きました。
”今回初めて参加しました。他の参加者の方から質問が来ると思うとしっかり内容を把握出来ました。
他の方の本も読んでいるような感覚になりました。楽しかったです。”

そうなんですよね。
質問を持って本を読むとしっかり入ってくるし、特に他の人の問いに対して答えなければと思うとなおさらなんです。
これは私もいつも実感しています。

”食に関することわざに「You are what you eat.」というフレーズがあります。
色々な解釈がありますが、私は「あなたの食が、あなたを物語る」と解釈します。
食には、栄養補給というモノトーン一面もありますが、同時に食は、それを通じてどんな人達と時間を共にするか、どんな価値観を大切にするかといった、カラフルな情景を我々の生活に与えてくれます。
さらに拡大解釈すると、「You are what you read.」と言うこともできます。食に関する読書を通じて、参加者の皆様と思考や価値観を共有すること、とっても楽しいです。”

本を介するからこそ、初対面の人同士でも話が盛り上がると思っています。
そもそもどんな本が集まるのかから楽しみで、それをベースにどんな話に展開するかは、その場にならないとわかりません。

食についてより深く知り、考える、そして小さな行動変化のきっかけになる場を創れたら嬉しいです。

次回開催は1月9日(土)、2月は6日(土)いずれも10:00~12:00。
最新情報はこちらから(常に更新されています)
https://www.reservestock.jp/page/consecutive_events/2001
今までに読書会で取り上げた食の本については、こちらの本棚に登録してあります。
ぜひご覧ください。

 

 

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ABOUTこの記事をかいた人

サステナブル料理研究家/一般社団法人DRYandPEACE代表理事
東大法学部卒。外資系金融機関等を経て、娘の重度のアトピーをきっかけに食の世界に。

食には未来を変える力があるという信念のもと、今のライフスタイルにあった乾物や米粉の活用法を中心にレシピを開発している。
料理教室の開催、企業向けメニュー開発、研修など多数。

料理を自由に発想でき、毎日の料理が楽しくなる独自の「ピボットメソッド」を考案。個人やメニュー開発が必要な方向けのトレーニングも行っている。

著書14冊。メディア出演多数。

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