ネパールのお米の乾物チウラの作り方、食べ方と、その仲間

ネパールの乾物チウラ

ネパールのチウラというお米の乾物、ご存知ですか?

チウラとは何か?現地ではどう食べるのかなど、お伝えしますね。

(2021年5月19日更新)

 

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サステナブル料理研究家、一般社団法人DRYandPEACE代表理事のサカイ優佳子です。
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食品ロス削減、省エネ、もしもの時の備えになり、そして意外かもしれませんが、料理を時短にしてくれるのが乾物
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サカイ優佳子

1 チウラとは?

チウラはお米の乾物

チウラとは、ネパール全域で食べられているお米の乾物の名前です。

Chiuraと書きます。

チウラは、薄くて、ちょっと風が吹くと飛んでいってしまいそうなくらいに軽いです。

中でも、ネワル族(カトマンズ盆地にすむ少数民族)にとって、チウラは欠かせない食べもので、ネワリ語では、バジ(Baji)と呼ばれます。

インドでも、同様のものが食べられており、ポハ(Poha)、あるいは英語でflattened riceと呼ばれています。

大阪の「ダルバート食堂」のオーナー、本田遼さんの著書「ダルバートとネパール料理」によれば、

  • ネパールでは米の種類が豊富(長粒米、中粒米、短粒米ともあり)
  • どれもが日本米に比べて食感が軽い

のだそうです。

その中でも、チウラに使うのは「タイチン」と呼ばれる中粒米が主流としています。

(ちなみに、この本のレシピ、とてもおいしかったです!)

チウラの作り方

伝統的な製法

作っている様子が映っているyoutubeを見つけました。

この動画では、以下のように言っています。

  1. 収穫した米を炊く。
  2. 炒る。
  3. 木の臼と木の棒で、平らになるまで餅つきのように突く。
  4. ふるいにかける。

ただ、この動画にもありますが、今はこうした作り方をする人は少なくなっているそうです。

英語サイトを調べてみると、炊くのではなく一晩水に浸けてから炒るとするものもあります。

先に書いた本田遼さんの本には、

  1. 米を蒸す
  2. 潰す
  3. 干す

とあります。

工業的な作り方

また、今は工業的に以下のようなプロセスで作られるという記載を見つけました。

  1. 脱穀した米を一晩水に浸ける。
  2. 炒る。
  3. 外皮を取り除く。
  4. ローラーで潰す。
  5. ふるいにかけて乾かす。

(参照 :COOK’S INFO ‘Flattened Rice’

疑問:なぜ突いても米が割れないのか

玄米茶の煎り玄米を突いたら割れそうですよね

例えば玄米茶に入っている玄米は煎ってありますが、あれを突いたら粉々に割れてしまうはず。

チウラはもっと白いので、完全に煎りあげることなく潰しているということなのでしょうか。

本田さんが書いているように、蒸してから潰して、そのあと干しているとすれば、この問題はないのですが。

今度ネパール料理店にでも行って疑問解消します。

わかったら追記します。

→自分への宿題

2 チウラの食べ方

ヨーグルトと食べる

ダヒ・チウラ(春日山紀子さんのHPより)

ネパールの暦のAsar(アサル)という月の15日に祝われるDhan Diwas(読み方不明、田んぼの泥を塗りたくってお祝いすると言います)の食卓には、ヨーグルトとチウラは必須なのだそうです。

例年、西洋暦の6月終わりから7月初旬に当たります。

ヨーグルト(ダヒ)とチウラを一緒に食べる、「ダヒ・チウラ」。

カトマンズにあるトレッキング専門会社「ヒマラヤンアクティビティーズ」を経営する春日山紀子さんのブログには、「ダヒ・チウラを食べる日」というタイトルの投稿があります。

その中には、過去に食べたダヒ・チウラについて、各年の記事と写真がリンクされていますよ。

臨月を迎えた女性に、ダヒ・チウラを食べさせる習慣がある地域もあるそうです。

ヨーグルトと食べると、チウラがふやけて美味しいとも書かれています。

参照 : 日々のネパール情報「ダヒ・チウラを食べる日

食べる前に炒り直し、おかずと共に食べる

羊の舌の串焼き、干し肉(スクティ)の炒めものとチウラ

チウラは、おかず、例えばカレーや炒め物と一緒にも、もちろん食べます。

茶色く色づいているのは、料理の時にちょっと強めに炒り直したからでしょう。

実際、多くの人が、チウラは炒り直して食べると言っています。

保存しているうちに湿気を吸うと、しんなりしてしまうからでしょう。

上の写真は、家族がネパール料理店で食べたチウラをお土産に少し持ち帰ってくれたもの。

手前は、羊の舌の串焼き、左側は干し肉(スクティ)の炒めものです。

(スクティについてもそのうち書きますね。新大久保であれこれ買って食べ比べたことがあります)

東京都豊島区にある「カスタマンダップ」で食べたチウラ

本田さんによれば、軽食(カジャ)にチウラは欠かせないと言います。

ネパールでは、普通の炊いたご飯と一緒に食べる以外の食事を、カジャと呼ぶとのことです。

インドでのポピュラーな食べ方(ポハPoha)

インドでは、朝食メニュー「ポハ」が有名です。

チウラ同様の乾燥米のことを、インドではポハと呼び、以下に紹介する朝食の定番料理の名前もポハと言います。

米=ポハはもちろん他の食べ方もするそうですが、この料理が最もポピュラーだと言われます。

Swasthi’s Recipes ‘How to make POHA’  には、ポハの作り方が2種類紹介されています。

写真入りでわかりやすく書かれていて、おすすめです(英語)。

作る手順については、上に埋め込んだ動画をみるとわかりやすいです。

Swasthiさんによれば、ポハにも厚めから薄めまであり、薄いものはこの料理には向かないとか。

自分が持っているポハが薄いのか厚いのかわからない場合は、水をかけてふやかした時に、すぐに溶けて粒がなくなってしまうかどうかでテストすると良いそうですよ。

もちろん粒がキープされるものが、この料理に向いています。

日本語で書かれたレシピも発見したので、以下に引用しておきますね。

Swasthiさんのレシピだと、カレーリーフなど手に入りにくいものもありますが、以下のレシピなら日本でも作りやすいのではないでしょうか。

【ポハ(POHA)の作り方】

  1. フライパンに多めの油をひき、マスタードシードを炒める。(パチパチとはじけさせます。)
  2. 1の油に、ジャガイモ、グリーンチリ、玉ねぎ、ピーナッツを入れ、炒める。
  3. 2にターメリック、塩、チリパウダー等(お好みで)を入れる。
  4. ライスフレークを水で洗い、その後水に数分つけ戻し、水を切る。
  5. 水を切ったライスフレークを3に入れ炒め、塩、砂糖などで味を調整する。
  6. お皿に盛ったら、玉ねぎのみじんぎり、グリーンチリ、コリアンダーの葉、トマト、スナック菓子等をお好みでトッピングして出来上がり

引用 : TIRAKITA「ライスフレーク

お腹の中で膨れるので注意

乾燥しているお米なので、お腹の中で水分を吸って膨れます。

軽い食感と思って侮ると、お腹に溜まるので注意してくださいね。

3 他の国の乾燥米

調理した米を乾燥させることで、すぐに食べることができるようにする文化は、他の国にもあります。

内モンゴルの炒り米

内モンゴルの煎り米

内モンゴルの炒り米をヨーグルトに入れて

2014年に内モンゴルの呼和浩特(フフホト)を訪れた時に食べた煎り米は、本当に香ばしくてとても美味しかったです。

現地では、お茶にこれを入れて食べることが多いようです。

お土産に持ち帰って家では、シリアルのように、ヨーグルトとともに食べるのがとても気に入りました。

その当時は、ダヒ・チウラを知りませんでしたが、まさにダヒ・チウラ的食べ方ですね。

でも、この炒り米は、ヨーグルトと混ぜても食感がほとんど変わらずクランチーでした。

押し玄米

押し玄米

友人からお土産にいただいた押し玄米も、潰してありました。

手間をかけずに玄米粥をつくるために作られた商品ということのようです。

10分で玄米粥が作れるので、離乳食にも手軽でいいのだそうです。

干飯(ほしいい)

戦国時代の携行食でもあったというのが、干飯。

  • 炊いたご飯を洗う。
  • 乾燥させる。

で作れるのだそうです。

熱湯で30分ほど戻して食べるのが、一般的な食べ方だそうです。

参考 : 「20年保存も可能!? 非常食には干し飯(ほしいい)!!」(小泉武夫マガジン)

乾物である米を、さらに乾物にする知恵

お米は、炊く手間がかかります。

炊いた米を乾物にするのは、日々の食事作りを簡単にするために始まったのかもしれませんね。

軽く、長持ちすることから旅の携行食にもなり、またもしもの時の備えにもなったのでしょう。

お米はそもそも乾燥させることで長期保存ができるようになる乾物ですが、それをさらに調理した状態で乾物に!

関東では滅多にみませんが、広島や九州のお土産としていただいたことがあるので、西ではまだお店で見ることもあるのでしょうか。

今、また見直してもいい食文化かもしれません。

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ABOUTこの記事をかいた人

サステナブル料理研究家/一般社団法人DRYandPEACE代表理事
東大法学部卒。外資系金融機関等を経て、娘の重度のアトピーをきっかけに食の世界に。

食には未来を変える力があるという信念のもと、今のライフスタイルにあった乾物や米粉の活用法を中心にレシピを開発している。
料理教室の開催、企業向けメニュー開発、研修など多数。

料理を自由に発想でき、毎日の料理が楽しくなる独自の「ピボットメソッド」を考案。個人やメニュー開発が必要な方向けのトレーニングも行っている。

著書14冊。メディア出演多数。

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