調味法パターンを増やすと、レシピがなくても料理が作れます

羊肉の内モンゴル風

調味パターンという引き出しを持っていると、レシピがなくても料理を発想することができます。

昨日の夕飯は、羊肉と玉ねぎの内モンゴル風、カジキマグロの中華風香味炒め、そしてセロリとりんごのサラダでした。
私の中で**風と思うものについて、改めて考えてみました。

ほぼ同じ内容の音声配信はこちらでお聴きいただけます。

目次
1 お気に入りの調味パターンをもつことで、アレンジ自在に
2 パターンがあれば、そこに食材を組み合わせるだけ
3 レシピなんかみないで作れないと、から、レシピ通り作るへの変化、そして脱却


1 お気に入りの調味パターンをもつことで、アレンジ自在に


私の中で内モンゴル風の調味法というと、クミンと唐辛子の組み合わせがその一つ。
もちろん、内モンゴルの料理が全てその組み合わせというわけではありませんが、自分の中で、そういうイメージを持っていると、料理をするときに、作りやすいなと思うのです。
羊やジャガイモ(内モンゴルのジャガイモは美味しい!)をこの方法で調味すれば、あっという間に内モンゴル気分に。

日本の家庭料理なら、海系(昆布、煮干し、鰹節など)のダシと発酵調味料の組み合わせに特徴がありそうです。
例えば、醤油とみりん1:1とかつおダシの組み合わせで煮物、とか。
味噌とダシで味噌汁とか。

サラダドレッシングなら、なにがしかの油と酸味が3:1で、塩胡椒で調整。
油を変えたり、酸味を変えたり、ハーブやマスタードを加えたり、で相当なアレンジが可能になります。
もちろん具材によって同じドレッシングでも全く違う料理に。

タイっぽいサラダを作るときには、にんにく、ナムプラー、青唐辛子、酸っぱい柑橘に香菜というパターン。
クミンとヨーグルトの組み合わせでインドっぽく。
ディルとヨーグルトだとちょっと東欧のイメージ。

アジア系の炒めものだったら、
例えば、ナムプラーとオイスターソース1:1。
あるいは、醤油:酒:オイスターソースを1:1:1。
ごま油を使うと中華寄り。
にんにく、生姜、ネギのみじん切りが入るとさらに中華っぽく。
これに酢や甘みを加えたり、トウチを加えたり、辛味(豆板醤やコチュジャン、唐辛子類など)を加えたりで変化を楽しめます。

酢醤油一つとっても、酢を米酢にするのか、中国系の黒酢にするのか、醤油を普通の濃口にするのか、もろみ系にするのかなどでも変化が楽しめます。そこにごま油を一滴とか、花椒や麻椒、青唐辛子、赤唐辛子などの刺激物を加えると、これまた相当な味の変化を出すことができます。

ローズマリーとオリーブオイルとにんにく、塩胡椒というパターンで、肉や魚を焼けば、プロバンスっぽい気分。
ジャガイモをダイスに切って、カリカリに炒めるときも、この味付けをすると美味しいです。

オリーブ、ケイパー、にんにく、トマト、オリーブオイル、アンチョビといった食材を組み合わせればイタリア風に。

プルーンやデーツ、レーズンなどのドライフルーツと、シナモンスティック、カルダモン、クローブを組み合わせるとモロッコっぽい雰囲気に。

そんな風にいくつかのパターンを持っていると、手元にあるもので料理をすることがとても楽になります。


2 パターンがあれば、そこに食材を組み合わせるだけ


パターンがあれば、そこに食材を組み合わせるだけ。

難しいと感じる人もあるかと思いますが、実はお味噌汁では、毎回私たちはそれをやっています。
基本は、ダシとお味噌と具材。季節によって、手元にあるものの都合によって組み合わせを変えています。

羊肉と玉ねぎの内モンゴル風
ジンギスカン用として、サフォーククロスラム(サフォーク種と掛け合わせたということのようです)をお安く見つけたので、玉ねぎとともに炒めました。
調味は内モンゴル風。肉にクミンパウダーと赤唐辛子をたっぷりめにふって、酒少々。にんにくも加えました。
米粉をおまじないのようにうっすらとふり、混ぜ(この粉の一振りで肉が硬くなりません)、あとはただ普通に炒めるのみ。
ご飯が進みます。

羊肉の内モンゴル風

カジキマグロの中華風香味炒め
にんにく、生姜、長ネギをみじん切りにして、弱火で香りを立てるように炒めたら、一口大に切って酒と塩胡椒で下味をつけて米粉(片栗粉でも)をはたいたカジキマグロを、多めのごま油とともに加え炒め揚げ。
斜め薄切りにした長ネギの白い部分を加えてともに炒めたら、醤油と紹興酒を半々くらいで濃いめに味付け。
最後に長ネギの青い部分と香菜を加えて炒め合わせて(色を綺麗に保つために後から入れます)出来上がり。

カジキマグロの中華風

セロリとりんごのサラダ
マヨネーズベースの調味をする方が多いと思いますが、今回は、私のサラダの通常パターンに当てはめてみたら、と〜っても爽やかに美味しくできました。
オリーブオイル(苦味と辛味が特徴のタイプ)、白バルサミコ酢(酸味が尖っておらずまろやか)、塩、白胡椒。
フルーツが料理に入るのは苦手という息子が、これは気に入ってたっぷり食べていました。

セロリとりんごのさっぱりサラダ


3 レシピなんかみないで作れないと、から、レシピ通りつくるへの変化、そして脱却


私が若い頃は、「レシピなんかみずに料理ができるようにならなければ」と躾けられましたが、最近は、レシピをみて作る料理が丁寧な料理と感じる人が多いと聞きます。

「レシピなんかみずに」が通用したのは、伝統的な日本のお惣菜ばかりを食卓に並べる食生活だったから。
つまりは、調味パターンが限られていたんですね。
煮魚の調味パターンを覚えれば、あとは魚が変わっても基本同じでOK。
魚といえば焼き魚と煮魚、天ぷらくらいなら、レシピを見る必要もないわけです。

レシピをみないと作れないというのは、今の日本の食生活が、バリエーション豊かなものになったから。
アクアパッツァを食べたい、中華風の炒め物も美味しそう、南米風のセビーチェ(酢でしめた魚が入ったサラダ)もいいな、となれば、どう作るのかを調べることにもなります。

都度レシピをみないで作れるようになるには、だから調味パターンを頭と舌で記憶すれば良いのです。
レシピをみて料理して、美味しいな!と思ったら、そのパターンを記憶しておく、他にどんな素材と合わせたら美味しいかな?と考えることをクセにしておくと、レシピなしでも、あるもので料理ができるようになります。

あるもので自分好みの味に料理ができるということは、「これとアレがなければ料理できない」とは違って、食品ロス削減にもなります。調味パターンを蓄えるのは、食育の一つと思っています。

 

 

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ABOUTこの記事をかいた人

サステナブル料理研究家/一般社団法人DRYandPEACE代表理事
東大法学部卒。外資系金融機関等を経て、娘の重度のアトピーをきっかけに食の世界に。

食には未来を変える力があるという信念のもと、今のライフスタイルにあった乾物や米粉の活用法を中心にレシピを開発している。
料理教室の開催、企業向けメニュー開発、研修など多数。

料理を自由に発想でき、毎日の料理が楽しくなる独自の「ピボットメソッド」を考案。個人やメニュー開発が必要な方向けのトレーニングも行っている。

著書14冊。メディア出演多数。

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