昨日の講座の後、参加してくださった方から、この質問をいただきました。
「茶色くなった切干し大根は食べても大丈夫なんでしょうか?」
はい、大丈夫です。
ただし、虫が付いているとか、赤いカビが出ているなどがないかは確認してくださいね。
産地である宮崎の人たちは、茶色くなった切干し大根の方が、むしろ美味しいというほど。
実は、この質問、いろいろな方からなんどもいただいていますので、ここでしっかりお答えしますね。
(*ほぼ同じ内容を音声でもお伝えしています。→こちらから)
1 切干し大根が茶色くなるのはなぜ?
切干し大根が茶色くなるのは、メイラード反応によるものと言われます。
メイラード反応が起こると、香り成分が生成され、その香りによって、美味しさが増強されるように「錯覚」すると言われています。
なので、茶色くなった切干し大根は、むしろ美味しくなっていると考えていいのです。
ただし、先にも書いたように、
虫がわいているか
赤くカビていないか
については、ちゃんと確認してくださいね。
その場合は、残念ながら廃棄することになるので、次回はそうなる前に食べきるようにしましょう!
2 メイラード反応とは?
⑴メイラード反応とは何か
メイラード反応とは、糖とアミノ酸が反応して、さまざまな香り成分が出てくることを言います。
例えば、肉を焼くと周りが茶色くなって、いい香りが漂いますよね。これはメイラード反応によるもの。
加熱によって肉の表面の細胞が壊れて、汁が流れ出します。
その汁に含まれる糖やアミノ酸が反応して焼き色がつきます。
焼いた肉の香りは、生のそれとは全く違って食欲をそそりますよね。
⑵加熱をしていなくてもメイラード反応は起きるのか?
さて、でも加熱はしていない切干し大根でもメイラード反応は起きるのでしょうか?
例えば味噌がだんだん濃い茶色になるのもメイラード反応と言われています。
肉を焼く時のように、加熱すれば即座にメイラード反応が起こります。
でも、例えば発酵によって、切干し大根の場合は乾燥によって、食材の細胞が壊れることで、食材に含まれるアミノ酸と糖がゆっくりと反応していくこともまたメイラード反応なのです。
農学博士の川崎寛也氏によれば、
乾燥食品は常温でもメイラード反応が起こります。干した魚、干しぶどうは常温でどんどん褐変します。加熱していないのに褐変します。温度は高いほど起こる。10度以下ではほとんど起こらない。20度くらいになると起こる。(関西食文化研究会での基調講演より)
ということです。
となれば、もし切干し大根が茶色くなるのを防ぎたければ10度以下の温度で保存すればいいということになりますね。
3 茶色くなった切干し大根にむく料理
さて、メイラード反応を起こして美味しくなった切干し大根にむく料理について考えてみましょう。
サラダや和え物などには、やはり茶色い色はあまり美味しそうに見えないので、新しい切干大根で作った方がいいのではないでしょうか。
普通に煮物にすると、驚くほど甘く仕上がります。
その時は、もちろん戻し汁をダシにして煮てください。
旨味や水溶性の成分が溶け出しているので、捨てるのはもったいないです。
また、例えば豚キムチに加えるとか、カレーに加えるなどすると、これもまた美味しいです。
炊き込みご飯にするのもオススメ。
簡単に作ろうと思えば、ちょっとだけ多めに水加減したお米と切干大根だけで炊くシンプルなものでも。
グラタンの具にするのも美味しいですよ。
切干し大根が茶色くなってしまっても、捨てずに美味しく食べる人が増えてくれたら嬉しいです!
家庭からの食品ロス削減の一助になるでしょうか。
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ぜひ乾物と仲良くなってくださいね!
サカイ 優佳子
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