自家製干し芋を、甘く美味しく作るポイント

自家製干し芋

干し芋、作ったことありますか?

干し芋の美味しい作り方のポイントをご紹介しますね。

サステナブル料理研究家、一般社団法人DRYandPEACE代表理事のサカイ優佳子です。

2011年からは、現代のライフスタイルに合わせた乾物の活用法の研究、発信に特に力を入れています。

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お鍋のごまだれとしても使えます!

 

 

1 さつまいもの甘みを引き出す加熱方法

自家製干し芋づくり

まずはさつまいもを蒸します

  1. 茹でるよりは蒸す(電子レンジはNG)
  2. 70度台の温度帯が長く続くのが大事

細かく見ていきますね。

さつまいもは、蒸します。

蒸し料理は、茹でるより栄養損失が少ないのです。

蒸し器がなくても、上の写真のように鍋の下に皿でもざるでも置いてあげ底をして蒸せばOKです。

さつまいもを加熱すると、β-アミラーゼという酵素が働いて、加熱されて糊化したデンプンを麦芽糖に変えます。

このことで、さつまいもの甘みが増すと言われます。

なので、β-アミラーゼが働きやすいような状態で加熱することが大事なんですね!

では、それはどんな状態なのかというと、、、。

日本いも類研究会のHPによれば、

β-アミラーゼは生のでん粉を分解することが出来ず、糊化したでん粉(葛湯のような状態)から麦芽糖を生成するので、調理過程での麦芽糖の生成は、そのいもに含まれるでん粉の糊化温度以上で、かつβ-アミラーゼが完全に熱失活する温度以下の温度で進む。

でん粉の糊化開始温度は概ね65~75℃位であり、一方、甘しょのβ-アミラーゼの耐熱性は他の植物や細菌類のものと比べてあまり高くなく、失活温度も品種間で差があるが70℃前後である。

*日本いも類研究会 https://www.jrt.gr.jp/q_a/spqa_yakiimo/

また、こんな論文も見つけました。

β-アミラーゼは 80℃を 超えると活性が大きく低下する.それ故,サツマイモの加熱調理においては,70∼80℃の温度域にできるだけ長時間曝すことが甘みを増すために有効とされている.

*独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構 作物研究所の「サツマイモを蒸した際のマルトース生成に及ぼす塊根の β-アミラーゼ活性およびデンプン糊化温度の影響」https://www.jstage.jst.go.jp/article/nskkk/61/12/61_577/_pdf

ということなので、80度を超えず、70度台の温度帯が長く続く調理が大事ということですね。

というわけで、弱火でじっくり長く蒸します。

40〜50分くらいでしょうか。

電子レンジでの短時間加熱では、だから、さつまいもの甘みを引き出すことができません。

楊枝や竹串をさしてすっと通るくらいまで、しっかり蒸すとねっとり甘くなっているはず。

2 干し芋づくり 失敗しない干し方

自家製干し芋づくり

ざるに並べて日当たりの良い窓辺に干しました

さて、蒸しあがったさつまいもは、皮を剥きます。

自宅で作る干し芋なので、形をどうするかは自由です。

体積あたりの表面積が大きい方が、空気に触れる部分が多いのではやく乾きます。

縦方向に長く、7〜8mm厚さに切って干すと良いでしょう。

ざる、網などに重ならないように並べて干します。

外で干す場合は、夜は家の中に入れてください。

今回は、降水確率0%だったのですが、花粉が飛び出しているのが気になって、家の中で干しました。

1日に一度は、裏返してください。

薄く切れてしまった端っこは、あっという間に硬くなりますので、早めに食べてしまいましょう。

完全に硬くなるまで干すのではなく、柔らかい半干しで食べるのがオススメです。

今回は、空気が乾いて温かい晴天だったせいか、丸一日で半干しに出来上がりました。

3 干し芋の美味しい食べ方と保存方法

干し芋好きなら、干している間にもつまみ食いをしてしまいますので、あまり問題にはならないかもしれませんが、半干し状態の干し芋は、残念ながら長くは保存できないので注意してください。

食べ切れない分は、容器に入れて冷蔵庫で保存しましょう。

ただ、冷蔵庫にしばらく入れておくと硬くなるので、食べる時にはそのままではなく炙る(あぶる)といいでしょう。

保存できるほどに硬くなるまで干すと、水分で戻さないと歯が立たないほどガリガリになります。

そうなってしまったら、食べやすい大きさに切って、プレーンヨーグルトとよく混ぜて7〜8時間冷蔵庫におくと、柔らかく戻って美味しく食べることができます。

お試しください。

4 掘り立てのさつまいもの追熟と保存方法

掘り立てのさつまいも

掘り立てのさつまいもは、追熟で甘くなります

掘り立てのさつまいもは、土がついたまま追熟させることで甘みが増すと言われています。

農家さんによれば、洗ってしまうと皮が傷つき、そこから腐りやすくなるとのこと、洗っちゃダメなんです。

農業・食品産業技術総合研究機構の片山健二さんによれば、さつまいもは、収穫後、次第にデンプンが糖化するのだそうです。

さらにはこんなアドバイスも!

どの品種も、1か月以上おくのがおいしく食べる目安。ホクホク系は4~5か月たつと、より甘くなりますが、ねっとり系は3か月以内に食べましょう。(中略)

サツマイモは10℃以下だと低温障害で腐り始めるので、冷蔵庫保存はNG。

*NHKテキストview 「収穫後のさつまいもはおいておくべき?保存法は?専門家に聞きました!」

長く保存しようと冷蔵庫に入れては、むしろよくないのは覚えておきたいポイントです。

農水省のHPによれば、原産地は、メキシコを中心とする熱帯アメリカというので、寒さに弱いのですね。

買ってきたさつまいもも、もちろん常温で保存してくださいね。

新聞紙などに包んで、陽の当たらない涼しいところで(でも10度以下にはならないように)保存します。

今回使ったさつまいも、農家さんにいただいたのが12月。

1ヶ月半くらい追熟したことになります。

甘〜く美味しくねっとりできましたよ〜。

まとめ

干し芋を作るときは、こんなポイントに注意すると、最高に美味しくできるはず!

掘り立てのさつまいもは追熟してから使う

さつまいもを保存するときは、常温で

さつまいもを加熱するときは、弱火でじっくり時間をかけて

干すときは、表面積を大きくして失敗知らず

硬くなる前に食べるのがおすすめ

硬くなってしまったらヨーグルトで戻してみて

 

市販でも入手しやすいとはいえ、自家製はやはり楽しいし、美味しいです。

ポイントを抑えて、ぜひトライしてみてくださいね!

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ABOUTこの記事をかいた人

サステナブル料理研究家/一般社団法人DRYandPEACE代表理事
東大法学部卒。外資系金融機関等を経て、娘の重度のアトピーをきっかけに食の世界に。

食には未来を変える力があるという信念のもと、今のライフスタイルにあった乾物や米粉の活用法を中心にレシピを開発している。
料理教室の開催、企業向けメニュー開発、研修など多数。

料理を自由に発想でき、毎日の料理が楽しくなる独自の「ピボットメソッド」を考案。個人やメニュー開発が必要な方向けのトレーニングも行っている。

著書14冊。メディア出演多数。

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