子どもが喜ぶ高野豆腐〜失敗せずにプルプルに戻すポイント

高野豆腐をプルプルに戻す

先日、こんなご質問をいただきました。

高野豆腐を子どもが食べやすいようにレシピを考えているのですが高野豆腐を熱湯で戻した際に、固さや食感にムラができてしまいます。

豆腐に近い食感にしたいのですが、お湯の温度など気を付けるポイントや戻し方にコツがあるのでしょうか。

味付けなどは熱湯で戻した後に行っています。よろしくお願いいたします。(Hさん)

 

  • 豆腐に近い食感になるよう、柔らかく戻したい
  • そのために熱湯で戻してみた
  • でも固さや食感にムラができてしまった
  • 味付けは戻した後にしている

ということで理解し、これに対しての回答を試みます。

  • 2020年10月9日
  • 2023年9月15日加筆修正

 

 

乾物クイズに挑戦

 

まずは、今の高野豆腐の基本を押さえておきましょう

⑴膨軟剤の種類には3つある

高野豆腐

高野豆腐には、調理時間の短縮、食感の改善のために膨軟剤が添加されています。

その種類は概ねこの3つに分類されます。

アンモニア
炭酸水素ナトリウム(重曹)
炭酸カリウム

かつてはアンモニアが添加されており、アンモニア臭の除去のために、戻して、濁った汁が出てこなくなるまで手で挟んで絞ってはまた水に浸けることを繰り返す必要があったのです。

それに変わって添加されるようになったのは、炭酸水素ナトリウム=重曹。

これによって、あらかじめ戻す必要がなくなり、調理が格段に楽になりました。

ただ、重曹を添加すると、塩分(ナトリウム)が高くなり、特に塩分の制限がある方々には、高野豆腐を安心して食べることができないという問題も指摘されてきました。

そのため、高野豆腐製造の大手、旭松食品(株)が開発したのが、重曹の代わりに炭酸カリウムを添加するという方法です。

これによって、

「従来品よりもナトリウム含量を約95%低減、カリウム含量を25倍以上にすることを実現し、抗高血圧という意味でより健康な食生活をサポートする食品となった」

ことで、旭松食品は農林水産大臣賞を受賞しています。

今後はこうした方向に変わっていくと思われます。

⑵なぜ、高野豆腐は調味液で煮なければならないのか

高野豆腐の煮しめ

以下は、上の炭酸水素ナトリウム(重曹)あるいは炭酸カリウムを添加している高野豆腐についての話になります。

高野豆腐のパッケージには、お湯のまま煮るのではなく、調味した液に入れるように注意書きがあります。

膨軟剤はアルカリ性で、繊維を柔らかくする作用があります。

お湯にそのまま高野豆腐を入れると、その作用で高野豆腐の繊維が柔らかくなって煮崩れてしまいます。

でも、調味液(に含まれる塩分)が加わることでアルカリが中和されて、煮崩れずに済むというわけです。

また、炭酸カリウムは、重曹に比べて水によく溶けて、アルカリ性も高いため、この作用がより強くなることが考えられます。

京山城屋のブランドで知られる(株)真田のHPのQ&Aには、以下のようにあります。

(高野豆腐は)膨軟剤として「重曹」を使用しています。

これは煮汁の塩分で身が締まることを想定し添加していますので、お湯だけで煮るとドロドロに煮溶けてしまいます。

必ず調味液で煮てください。

高野豆腐を熱湯で戻すとプルプルになる?

「ガッテン」で紹介された、高野豆腐を熱湯で戻す方法

高野豆腐をプルプルフルフルに戻す2015年5月27日にNHK「ガッテン」で紹介されたのが、「あの高野豆腐がプルン ヘルシー激ウマ七変化」。

高野豆腐を、従来の含め煮などに使う場合よりも柔らかくプルプルに戻す方法として話題になりました。

その方法は以下。

高野豆腐2個に対し、1リットルの水を土鍋に入れ、加熱する。

沸騰したら、火を止め、高野豆腐を入れ、軽く沈めたらすみやかにフタをして4分放置。

湯豆腐の要領であつあつでいただく。

私も試してみましたが、高野豆腐が驚くほど大きく膨らみ、プルプルになりました。

「うまくプルプルに戻らなかった」場合の原因

ただし、これをそれ以上放置しておくとプルプルだったものが崩れて、豆乳状態になってしまいます。

オンラインの料理教室でおまけでご紹介した時に、他の料理を作っている間放置していたら、豆乳に成り果てていました。

4分経ったところで調味液を加えることでアルカリ度が中和され、膨軟剤の働きを抑えることは可能と思われます。

実際、以前、この方法でふっくら膨らんだ高野豆腐に醤油をかけた途端にシュッと小さく縮まりました。

調味液を高野豆腐に直接かけるとその部分だけが縮まる(硬くなる)可能性もあります。

調味料を足す時には、その点に注意してくださいね。

また、ムラができたということですが、お湯にしっかり浸かっているところとそうでないところがあったのかもしれません。

2個に対して1リットルというのは、かなり多いという印象を私も最初受けました。

でも、この量が必要ということなのだと思います。

  • 簡単に冷めないようにということと(土鍋に入れているというのも同じ理由)
  • 高野豆腐が膨らんでも浮かないように

という二点の意味で。

プルプルの高野豆腐の美味しい食べ方例

プルプル高野豆腐と塩レモン

プルプルに戻った高野豆腐を、あえて煮ることをしなくても、塩レモンとオリーブオイルで食べるのも美味しいですよ〜。

ということも付け加えておきますね。

まとめ

  • たっぷりのお湯を使う(1リットルに2個=34g程度)
  • 土鍋など、保温性の高い容器の中で戻す
  • 4分経ったところで調味液を加えるが、高野豆腐に直接かけるとその部分だけ硬くなる可能性があるので注意

さて、これでHさんの疑問が氷解して、お子さんのためにプルプル食感の高野豆腐を作れるようになると良いのですが。

 

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ABOUTこの記事をかいた人

サステナブル料理研究家/一般社団法人DRYandPEACE代表理事
東大法学部卒。外資系金融機関等を経て、娘の重度のアトピーをきっかけに食の世界に。

食には未来を変える力があるという信念のもと、今のライフスタイルにあった乾物や米粉の活用法を中心にレシピを開発している。
料理教室の開催、企業向けメニュー開発、研修など多数。

料理を自由に発想でき、毎日の料理が楽しくなる独自の「ピボットメソッド」を考案。個人やメニュー開発が必要な方向けのトレーニングも行っている。

著書14冊。メディア出演多数。

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