煮干しは、なぜ塩水で煮てから干すのでしょうか?〜ご質問への回答

「煮干しは、塩水(海水)で煮てから干すとのことですが、なぜでしょうか?」

そんなご質問をいただいたので、その理由を解説しますね。

真水で茹でる減塩煮干しとの違いも、説明します。

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サステナブル料理研究家、一般社団法人DRYandPEACE代表理事のサカイ優佳子です。
2011年からは特に、現代のライフスタイルに合わせた乾物の活用法の研究、発信に力を入れています。

食品ロス削減、省エネ、もしもの時の備えになり、そして意外かもしれませんが、料理を時短にしてくれるのが乾物
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サカイ優佳子

 

昨日は、乾物マジックマスター講座をオンラインで開催していました。

その中で、煮干しの料理(ダシとしてではない)をご紹介した時に、ご参加の方から質問をいただきました。

煮干しは、海水で煮てから干すとのことですが、なぜでしょうか?

それでは、疑問にお答えしますね。

ほぼ同じ内容の音声配信はこちらでお聴きいただけます。

standFM 「サカイ優佳子の 食卓で世界旅行

1 なぜ煮るのか?

ATPが分解されていく過程でイノシン酸が生成されます

先ほどの質問は、いくつかに分解できます。

まず一つ目が、「なぜ煮るのか?」です。

煮干しを含む魚や動物には、旨み成分として知られるイノシン酸の元になるATP(アデノシン三リン酸)という物質が含まれています。

死後、このATPが分解されてイノシン酸になります。

さらに分解が進むと、イノシン(HxR)、そしてヒポキサンチン(Hx)へと変化していきます。

イノシン酸を超えて、イノシン、ヒポキサンチンに進むと、旨みも消え、刺身で食べられない状態→腐敗へと向かいます。

この変化は、酵素によって進行します。

煮干しを煮る=熱を加えることで酵素を失活させ、その進行を防いでいるのです。

参照

特定非営利活動法人 Fair Trade Fishery. HP 「鮮度が良い魚=おいしい魚だと勘違いしていませんか?

広島県HP 「魚の鮮度 K値

イワシの煮干しでは、IMP分解酵素 を熱失活させてあるので、加工過程で熱水中に若干溶出することはあっても乾燥中に分解されることがなく、IMP含 量は素干し(田作り:乾燥過程でIMPの大部分は分解してしまう)よりはるかに多い。素干しではなく煮干しが「だし」を採るのに用いられる所以である。

(強力な分解酵素が筋肉中に普遍的に存在しているので:著者加筆)酵素を失活させるのが最善の方法であり、煮干しの例のように、筋肉中の分解酵素を熱によって失活させれば、腐敗がかなり進行しない限り、以後のIMPの分解は完全に抑制できる。

食品の旨味劣化とその保持 遠 藤 金 次(受付1998年8月26日)
マテリアルライフ(Materials Life), 10 [4] 190~195 (Oct. 1998)より引用

イノシン酸ができる前に酵素が失活してしまうことはないのでしょうか?

ATP分解は早く、数時間でほとんどが分解される。さらにIMPまでの分解は比較的早く進行するが、IMPの分解は緩やかであり、 IMPが蓄積される。
公益社団法人 日本冷凍空調学会のHP「ATP関連化合物

なので、イノシン酸にまで分解した頃に加熱することで、一番旨みがのったところで進行がストップするということになるわけですね。

イノシン酸の元は、先にも書いたようにATPです。

当たり前ですが、このATPが多いほど、イノシン酸も多く生成されます。

ストレス(狭い水槽や環境の違うところで飼育する等)を与えると、ATPの生成に影響を与えることが知られています。また、苦悶死(魚を暴れさせて死なせる)させるとエネルギーであるATPを消費してしまい、生成されるIMPも減少してしまいます。
前出 特定非営利活動法人 Fair Trade Fishery.HP

煮干しを水揚げする際に、手で掬う(すくう)という会社もあるくらい、このATPを減少させないような努力が行われているのです。

2 なぜ海水で煮るのか?

カタクチイワシは鮮度が勝負。漁港についたらすぐに加工されます。

二つ目は、なぜ海水で煮るのか、です。

これは2つの質問に分解でき、それぞれに答えを探してみました。

なぜ、海水なのか?

煮干しの原料であるカタクチイワシ(ヒシコイワシ、セグロイワシともいう)は、あっという間に鮮度が落ちる魚です。

漁獲してから煮干しに加工するまでの時間を短くするために、加工場はふつう海のすぐ近くにあります。

わざわざ塩を入れた水を作ってそれで煮るよりも、海水を使う方が合理的ですよね。

なぜ塩水で煮るのか?

カルシウムや鉄分が豊富な煮干しをおやつや軽食にという人も増えているようですね

煮干しにはカルシウムや鉄分が多く含まれることから、健康的なおやつとしての評価も高まっています。

でも塩茹でして作る煮干しは、塩分も多いので、量を食べるわけにもいきません。

また、減塩の必要性も叫ばれる中、最近は塩水ではなく水で煮て作る煮干しも多く売られています。

でも元々は保存食、ダシ用として作られていたため、より長持ちさせるために塩水で茹でていました

煮干しを扱っているおだし香紡さんが運営する「まいにち、おだし」というHPに、無塩煮干しと通常の煮干しの食べ比べのイベントの案内を見つけました(すでに終了)。

そこには、ほぼ倍も違う賞味期限についての記載がありました。

(煮干しは)塩で煮ているため、賞味期限は長く(12ヶ月程度)

無塩煮干しは真水で煮て塩抜きをしてから干して作っています。
通常の煮干しよりも賞味期限は短く(6ヶ月程度)なります。

まいにち、おだし「無塩煮干し・有塩煮干しの食べ比べ

まとめ

煮干し、ダシとしてもおやつやおつまみ、料理の素材としても活用していきたいですね。

煮干しを海水(塩水)で煮るのは、分解酵素を熱によって失活させることで、旨み成分であるイノシン酸を多く残しながら、より長く保存するためということがわかりました。

先人の知恵の素晴らしさに、感謝!ですね。

保存期間が短くなっても問題ないなら、そして、減塩を考えるなら、茹でて塩抜きして作った無塩煮干しを使ってみるのも良さそうですね。

ただ、個人的には、海水で茹でた煮干しの方が旨みが強いように感じます。

これは、気のせいでしょうか。

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ABOUTこの記事をかいた人

サステナブル料理研究家/一般社団法人DRYandPEACE代表理事
東大法学部卒。外資系金融機関等を経て、娘の重度のアトピーをきっかけに食の世界に。

食には未来を変える力があるという信念のもと、今のライフスタイルにあった乾物や米粉の活用法を中心にレシピを開発している。
料理教室の開催、企業向けメニュー開発、研修など多数。

料理を自由に発想でき、毎日の料理が楽しくなる独自の「ピボットメソッド」を考案。個人やメニュー開発が必要な方向けのトレーニングも行っている。

著書14冊。メディア出演多数。

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