【食情報】米の消費減が止まらない〜コロナでさらに加速?

土鍋の炊きたてご飯

今日いただいた、ある方からのメールに
「今年はコロナの影響があり、2019年に比較して、米の消費減が22万トンの見込だそうです。毎年10万トンずつ減るのが定説らしいので、この数字を米業者から聞いて驚きでした。」
とあり、改めて調べてみました。

田んぼを残したいという思いで、2007年から米粉の活用法について研究開発してきたのですが、一人当たりの消費量も下げ止まらない感じ。う〜ん、、、。

ほぼ同じ内容の音声配信はこちらでお聴きいただけます。

目次
1   コメの需要が22万トンも減った理由とは?
2   コメの価格はこんなに上がっている
3 政府が考えているのは「コメ輸出の飛躍的拡大」
4 田んぼを残すために何ができるのか?

 

1 需要が22万トンも減った理由とは?


農水省のHPにある、「米に関するマンスリーレポート」 資料編 令和2年10月号によれば、日本国内のコメの消費量は、2003年からは年に8万トンずつ、2013年からは年に10万トンずつ減少。

ところが、昨年7月から今年6月までの一年間の需要実績が、一気に22万トン減ったとあります。

農業協同組合新聞のHPに、(株)米穀新聞社記者・熊野孝文氏が書いている2020年8月4日付の記事によれば、熊野氏が農水省の担当者に聞いたところ、この大幅減の原因を3つあげていたとのこと。

1)インバウンド需要の減少で1.5万トンの減少
2)3〜6月の間に失った中食、外食の合計で8.6万トンの減少
3)コメの価格が上がったことによる消費減。

人が食べる量はそんなに変わらないはずなのに、中食外食が減ったことでこんなにコメ消費が減ったということは、食べ残しなどで無駄に捨てられているということなのでしょうか?素朴な疑問です。

人口減も影響はあるでしょう。
総務省統計局のHPによれば、2020年4月の確定値で2019年4月に比べて32万4千人の減少。
年間一人57kg食べるとすれば、18,468t減るわけで、インバウンドによる減少分以上に減っている計算です。

2 コメの価格はこんなに上がっている


3)についてちょっと調べてみました。
コメの相対取引価格の推移(税込)全銘柄平均価格
農水省のHPにある「米の相対取引価格の推移」(PDF)を見ると、ここ10年ほどでの最低価格が玄米60kgあたり11,967円(2014年)。

近年は高めで推移していて、2017、2018年は15,000円台半ば。

同じく農水省が出している「令和元年産米の相対取引価格・数量について(令和2年8月)」によれば、「令和2年8月の相対取引価格は、全銘柄平均価格で15,531円」とあるので概ね高どまりと考えて良さそうです。
2014年に比べると3割も高くなっていることがわかります。

業界では、玄米60kgあたり200円米価が上がると1万t需要が減ると言われているのだとか。

これだけ高値になっているのは、不作だからとかではなく、政府の高米価維持政策による訳で、コメの消費を増やしたいのか、減らしたいのか、よくわからない状況になっているように思います。
(今回はここ、深入りしませんが)

3 政府が考えているのはコメ輸出の飛躍的拡大


そんな政府が今力を入れているのが、「コメ輸出の飛躍的拡大」。
国内需要の減少、インバウンドの回復にはしばらくかかりそうとなれば、こういうことになるのでしょう。
米菓や日本酒等の原料米換算分も含めて目標10万トンとのことです。

現状はどんな感じかを調べてみました。

コメそのものの輸出
2019年度実績でコメの輸出は17,381t 。
2020年1月〜8月の実績で12574t。

米菓(コメ換算ではなく米菓そのもの)
2019年 4033t
2020年1月~8月 2539t

酒(コメ換算ではなく酒)
2019年 24,928キロリットル
2020年1~8月 11,837キロリットル

酒を1800ml作るのに概ね1.3kgの米が必要とされているので、1リットル作るのには0.722kg。
これで計算してみると
2019年 17,998t
2020年1~8月 9138t

2020年は、コロナで外食が減ったために酒の輸出が減ったと考えられますが、2019年の実績だと、コメ換算で、コメ自体よりも酒の輸出での方がコメが海外に出ていっているということになるのですね。

何れにせよ10万トンの輸出をするためには、今の3倍程度は輸出しないといけないということになります。

参考:「米の輸出について」(農水省HP) https://www.maff.go.jp/j/syouan/keikaku/soukatu/kome_yusyutu/kome_yusyutu.html

 

4 田んぼを残すために何ができるのか?


日本でコメを作り続けることには、
米作りの技術の継承
田んぼという最小のダムの維持
田んぼにすむ生物の多様性を維持
地域コミュニティや稲作に伴う文化の存続
緑多い景観の維持
主食を国内で賄えるという安心感

などがあげられると思います。

昭和30年代には一年に一人120kg程度のお米を食べていたのに、最近はその半分以下と言われ、50kg台。
57kgとすると、一人一日一合程度ということなんですよね。
ご飯茶碗に二杯くらい。
となると、毎日そのくらい食べているか微妙なくらいです、私。
これ以上粒で食べる量を増やせそうにありません。

米粉のレシピ開発はしています。粒で食べない分、米粉で別の食べ方ができれば、と。
コメを餌に育てられた肉や卵を食べる。
お酒を飲む。

個人にできることはそのくらいでしょうか。

 

 

関連記事

  1. カントニーズシュリンプ

    【食育】ウチの定番カントニーズ・シュリンプを食べながら陸上養殖について…

  2. 京急百貨店COTONOWAで乾物防災食講座

    【乾物】「フェーズフリー」な家庭備蓄とは?

  3. 激安商品の落とし穴

    【食を読む】「激安食品の落とし穴」に意外な嬉しい発見!

  4. ウチの乾物収納

    【乾物】乾物、非常食収納と、賞味期限を教えてくれるアプリ

  5. オンライン読書会

    【食を読む】未読OK、予習不要。別の本を一緒に読み、対話する不思議な読…

  6. CLEAN MEAT 培養肉が世界を変える

    <食の未来>細胞農業が開く未来?①〜工業型畜産は限界を迎えている〜

コメント

  • コメント (1)

  • トラックバックは利用できません。

    • 藤原和男
    • 2020年 10月 17日

    正確なデータ収集とコメントに感謝します。
    米に関する課題に触れる時には、掘り下げるほどに政治的政策的問題に触れざるを得ない部分があります。

    1)22万トンも減った理由は、サカイさんの分析にある通りだと思います。人口減少が大きいと思うのと同時に高齢化は向かう過程で人口構成
      のボリュームゾーンも年々高くなり、一人当たりの消費量は自ずと減っていきます。私自身も明らかに米粒の摂食量は減っています。生理的
      現象として止めるすべはありません。
      政府の協力要請に対して山崎製パンでは長年にわたり米菓の販促に尽力してきていますが、他方で政府管掌の小麦の拡大要請も相まって、双
      方ともに拡大していくことは困難な状況にあります

    2)価格上昇の理由
      競売環境を放置した場合、米価の産地間格差が広がることで低評価産地の離農が危惧される状況を招きます。転作を奨励したり飼料米を奨励
      するなどの策を繰り返してきましたが、いづれも政府の助成を伴い国庫が疲弊するばかりの結果につながります。もともと日本は農業への財
      政支援が先進国でも最低レベルにあり、さらに安倍政権誕生後の財政健全化の名のもとにプライマリーバランス最優先政策が取られ、農業へ
      の政府支出を国民の懐から支出させようとの思惑が色濃くなりました。結果として、相対取引を拡大することで指値を意識させた相場形成へ
      と繋がり、需給環境を無視した価格が維持されました。

    3)コメ輸出の急拡大が政府目的
      残念ながら急拡大できるほど日本の農産物の信頼は確立されていません。面積当たりの農薬使用量が世界のトップレベルにあることや情報を
      公開しない社会風土はインターネットで世界の知るところになっています。前安倍総理が提唱した農産物輸出1兆円の目標も絵に描いた餅の
      状態です。1兆円といっても他国と比べれば、九州ほどの国土しかないオランダの農産物輸出額の8分の1以下です。拡大できない理由につ
      いて、農水省は原発事故汚染によるマイナスイメージを要因にあげ、経産省は原発事故前から農産物輸出は低調だったとして理由を農薬使用
      量や情報開示の不十分さにあげています。監督官庁が異なる見解を示し一枚岩にはなれません。ジェトロに予算をつけ海外見本市販売強化を
      意図した活動を継続していますが、その時その場だけの成果に留まっている状況です。

    4)田圃を残すためにできること
      サカイさんの指摘は素晴らしく、どれをとっても必要不可欠な視点だと思います。温暖化がもたらす集中豪雨は田んぼの存在が被害を小さく
      させているはずです。生物多様性や緑の景観は人間社会の精神的安定に寄与しているものと思います。最近、佐賀大学を中心にするチームが
      水田の微生物の働きを利用した発電システム開発に成功したとのニュースが伝えられました。実用までには、10年余りの時間を要するよう
      ですが、水田が維持されることが再生可能エネルギーの増大につながることが実証された夢のある研究成果です。

    米国に渡って40年以上になる秋田出身の工藤さん(David Kudo)は、長年にわたり日本酒の認知に貢献されてきました。彼が発行する情報紙は
    SNS時代の流れを受け、毎月20万に到達する状況にあります(alljapannews.com) 。現地や日本で工藤さんと何度も情報交換を行ったところ
    マーケットは拡大するものの、現地の酒流通業者に酒の繊細さを伝えるにはまだまだ時間がかかるということでした。去年から米国北部地域での
    熱燗の普及をめざした活動をしているとのことですが、もともとの温度管理が十分ではなく、日本製造から納品までの保管温度の管理などが十分
    ではなく日本酒固有の風味が落ちた商品も見受けられ取り扱うスタッフの教育から必要との意見がありました。この件は、アメリカだけでなく、
    食の本場ともいえるフランスでも起きており日本酒は適温での保管が重要との教育が求められています。
    ジェトロ・ロサンゼルス事務所の協力もあって、2年前に京都の月桂冠の施設で京都の酒蔵の日本酒販促イベントが催されました。知事も市長も前向きに取り組まれており、海外の国々の食事情にマッチした商品開発が求められることを痛感しました。

    極力、政治的背景を離れた内容に務めたつもりです。近年感じることを記入させて頂きました。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

最近の記事

  1. 2020-10-26の昼食
  2. ポテトチップス
  3. 血合い抜きの鰹節
  4. 激安商品の落とし穴

料理教室