先日、鯨料理を専門にするお店で、ナガスクジラのお刺身をいただきました。
アイスランドからの輸入品。
給食で食べた鯨の竜田揚げは大好物でしたが、大人になってから、鯨の専門店で食べたお刺身でも、特に美味しいと思ったことはなく過ごしてきました。
でも、これは口に入れた途端に、「え!」と驚くほど美味しくいただきました。
とろけるような、でもちゃんとかみごたえもある、なんとも言えない食感と甘み。
そんなわけで、鯨や捕鯨について、ちょっと調べてみることにしました。
ほぼ同じ内容の音声配信はこちらでお聴きいただけます。
目次
1 クジラの種類とIWC管理対象クジラ
2 IWCを脱退して何が変わったのか?
南極海での捕鯨調査中止
商業捕鯨ができる海域とクジラの種類
3 今食べることができる鯨肉
4 鯨肉は美味しくなったのか?
5 鯨肉の栄養
1 クジラの種類とIWC管理対象クジラ
鯨には83種類あり、一番大きいのがシロナガスクジラ。絶滅危惧種で、捕鯨は禁止されています。
大きさは34mほどのものまで!
次に大きいのが、先日私が食べたナガスクジラ。
体長4m以下のものがイルカとされます。
IWC(国際捕鯨委員会)が管理対象にしているのは、シロナガスクジラ、ミンククジラなどの大型鯨類計13種(その後、種類が別れて認識されるようになり、現在は17種とされています。水産庁HP)。
ナガスクジラもこのうちの一つです。
それ以外の鯨類は対象としていません(千葉の和田浦で上がるツチクジラなどは対象外)。
2 IWCを脱退して何が変わったのか?
2019年6月30日に、日本がIWCを脱退したことは大きなニュースになりました。
これで商業捕鯨が再開されて鯨肉が安くなる?などの話題もありましたが、そう単純でもないようです。
南極海での調査捕鯨中止
2019年3月31日に南極海で30年ほど続いた調査捕鯨の最後の船が下関に帰港。
河野太郎氏のHPによると、「日本の科学調査の2017年の捕獲枠は、南極海のクロミンククジラが333頭、北西太平洋のイワシクジラが134頭、ミンククジラが170頭、合計304頭」でした。
このうちの南極海での調査捕鯨ができなくなるので、この分の捕獲量は約半分になります。
商業捕鯨ができる海域と鯨の種類
今後日本の商業捕鯨は、日本の領海またはEEZ(排他的経済水域)の中だけで行われることになり、さらに、資源量が十分にあることが確認されているイワシクジラ、ニタリクジラ、ミンククジラの3種類と、IWCが管理していないツチクジラなどが捕鯨の対象となるのだそうです。
ちなみに2019年7月1日に水産庁が公表した捕獲枠は
ミンククジラ 20 頭
ミンククジラ 32 頭(後に水 産庁留保分の 1 頭を追加し 33 頭)
これで経済的にやっていけるのか?と疑問視する声も大きいようです。
また、やはりアイスランドやノルウェーからの輸入で補わないと今の水準の量の確保は難しいとも言われています。
3 今食べることができる鯨肉
日本捕鯨協会のHPによると、
商業捕鯨による鯨肉
鯨類捕獲調査の副産物
IWC規制対象外のクジラやイルカの肉
アイスランドやノルウェーからの輸入鯨肉
定置網などで混獲されたクジラの肉
などが食用として流通しており、すべて合法的な食品とのこと。
調査副産物、輸入鯨肉、混獲クジラは個体ごとにDNA登録されており、トレーサビリティが確立されているのだそうです。
(規制されているクジラが捕獲されるのを防ぐため)
4 鯨肉は美味しくなったのか?
鯨肉は、技術の進化に伴い、近年格段に美味しくなっていると言われています。
特に商業捕鯨となると、船上で血抜きをすることが可能になり、これが鯨肉の味に大きく影響するのだとか。
私が食べたアイスランドのナガスクジラは商業捕鯨としてとられているものなので、あの味のよさはこれが原因だったのでしょうか。
ナガスクジラはとても美味なクジラとして知られるとのことですが、日本近海やEEZでとれる鯨の肉についてはどうなのでしょう?
5 鯨肉の栄養
農水省のHPによると、「鯨肉は、高タンパク・低脂肪といった栄養面のほか、バレニンやオメガ3系多価不飽和脂肪酸(EPA、DHAなど)といった機能成分を含有」するのだそうです。
https://www.jfa.maff.go.jp/j/whale/meat.html
バレニンとは、クジラ特有のアミノ酸物質で、検証実験の結果、「バレニン」には抗疲労効果や疲労回復効果が確認されていると言います。(詳しくは、日本捕鯨協会pdf https://www.whaling.jp/pdf/factbook2018.pdf)
鯨をめぐる論争は国際的にもあれこれありますが、持続可能な形での鯨漁として継続していくのであれば問題ないことと思います。
科学的な判断よりも感情論で議論されることもあるのは、ハタから見ていてもなんだかな、と感じるところ。
こんなに美味しいのであれば、鯨肉を、たまにでいいので味わいたいというのが、食いしん坊の私の想い(意見ではなくw)です。
捕鯨に関する本、まずはこちらを読んでみようかなと思っています。
サカイ 優佳子
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